俺が思うに、農業って参入しやすいようで実はハードルが高い。農業での自立を考えなければ参入は簡単だ。
しかし自営業として完全に自立しようとすると、初期投資の大きさ、
あるいは労働の先鋭化、不安定な収入など、乗り越えなければいけない壁が多い。
俺は末席にいる米農家だが、水稲であれば圃場の確保から壁が始まって、
多くの人が思い浮かべる必要な投資機械はトラクター・田植え機・コンバインと
草刈り機や防除機等であり、それらをすべて新規に購入するとなれば、1000万円ではきかない。
トラクターを例にあげれば、日本で一番良く売れるのは30〜35馬力クラスらしい。
一方、耕作面積では5反以下の農家が約50%、90%が2町以下というのが都府県平均だが、
国の試算によれば30馬力トラクターでは20町以上が耕作可能だとしている。利用下限面積は10町との事。これはあくまで参考資料だが、結局は過剰投資なのだ。
施設園芸ではさらに初期投資が必要になる。
これを解消するには大規模化が最適解だと思うが、10町以上の規模の稲作農家は僅か0.1%に過ぎず、新規参入でこのグループに属すのは現実的でない。
初期投資を抑え、アウトソーシングに頼れば利益が圧縮される。
機械化に走らず、小規模で利益を出そうとするには高品位な作物を作る方法もある。
しかしそれこそ高度な知識と手間が必要であり、より専門性が高くなる。
農業への参入は簡単だが自立するのは難しく、就農しても僅かな期間で離農し、
高齢の農家の廃業とともに、農業法人と担い手農家の大規模化だけが進んでいく。
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